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は合意の要否については、特段の規定を設けていない。
 しかし、本条に関する「注釈書」において、『・・・。多くの場合、運用システムの変更は、EDIプログラムまたはEDIファイルに直接関係がない場合でも、当事者間の通信機能を阻害する可能性がある。両当事者は、通信の中断が発生しないように、できる限り取引相手方と連携することが望ましい。』と規定されているように、事柄の性質や実務処理の現状からみても、システムの一部を変更しようとするときは、当事者間において、変更内容について事前に十分な協議を進め、協議の結果得られた合意の内容について、当事者によって承認された者の「署名のある書面」により、または「記録作成可能な同等の電子的媒体」により、確認の手続きをとっておくことが望ましいと考えられる。
 なお、確認の手続は、EDI取引当事者間において締結されることとなる「EDI協定書」に規定しておけばよい。
4.事前通知のないシステムの変更(義務違反とその影響)
 EDIシステムは、両当事者の合意に基づいて構築されるケ−スが多いと考えられるので、一方の当事者が、事前に何らかの協議又は通知をすることなく、例えば、「第三者サ−ビス提供者」の変更や「通信プロトコル」の変更などシステムの一部の変更を行うということが、仮に行われることがあるとすれば、当該変更を無通知で行った当事者は、相手方当事者に対して、EDI協定の締結に際して合意をした送受信機能を維持するという義務に違反することになると考えられる。
 なお、この場合の義務違反は、業務処理の過程においてミスを犯したということだけに止まらず、相手方当事者との関係においては、自己の行為(相手方に通知をすることなく「システムの変更」を行った)により、一定の結果が発生することを認識すべきであるのに(通信障害が発生することを認識すべきであるのに)、不注意により、結果の発生を認識しないでそのような行為をしてしまった(重大な過失があった)ということにもなりかねないので、十分留意する必要がある。
 つまり、このように事前の通知をすることなく一方の当事者による「システムの変更」が行われるということがあり、その結果通信障害が発生するということがあるとすれば、他の取引当事者との関係においては、例えば、契約の成立を前提として業務運営を進めているにもかかわらず、その履行の各段階において当事者の予測しなかった種々の事態(極

 

 

 

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